コンビニ人間
『コンビニ人間』を読んだ。村田沙耶香さんという人の書いた本で 、芥川賞を受賞しているらしい。
この本に共感できない人ほど幸せだと思う。なぜなら、これは少数派が多数派によって居場所を奪われていく話 だからだ。ちなみに私は大いに共感した。別に、幸せじゃないというわけでも ない。だけど、多数派になれない生きづらさは分かるなと思った。
昔から人の興味のあることに興味が持てないことがあった。
たとえば小学校の時。
「〇〇(芸能人の名前)を知らない人なんているわけないよね~」
という女子たちの会話が理解できなかった。きっと人気の芸能人な んだろうなとは思ったけれど、別に私はその人のことは知らなかったし、後から調べようとも思わなかった。今でもテレビにあまり興味はなく(好きなバンドが出ていれば観ようかなと思うことはあるけど)、だから芸能人もよっぽど有名な人じゃないと名前を言われ ても分からない。有名人のスキャンダルとかも、どうして世間がそ んなに騒ぎ立てるのか分からない。別に有名なだけで、 カテゴリーとしては結局人間なのにどうして?
後は、多数派の傲慢さは嫌だなと感じることもある。
世の中の人間の多くは恋愛を重視している。
まあそれは分からなくもない。
だけど、全ての人間がいつでも恋愛したいと思って生きているわけ でもない。
世間話として、彼氏いるの?とか聞かれるのは別に構わない。
でも「え、なんで? 信じられない。寂しくないの? ほんのちょっとも付き合いたいと思わないの? いたら人生楽しいのに」なんて言われることもある。それは言い過 ぎなんじゃないかと思う。(別に、あなたと違って相手がいなくて も私の人生は十分楽しいです)
こういう人がアラサーあたりになると、自分の価値観振りかざして 独身の女(必ずしも結婚を望んでいるとは限らない)に偉そうなこと言うんだろうな。Mind your own business. Get lost. って話ですね。
断っておくと、そういう話題が嫌いなわけじゃないんです。実際、 女子会とかすると楽しいし、自分でもいろいろ話したりすることもあるし。
ただ、みんなが同じ価値観だと信じて悪意なくそういう発言する人 っているんですよね。
それから、非合理的な行動の一部が理解できなかった。
中学の時には、学校の最寄り駅(徒歩5分ぐらい)まで1人で帰り たくないからという理由で、友達の都合がつくのを50分ぐらい待 っている人がいた。彼女曰く、 1人でいるのを見られるのは恥ずかしいらしい。他にもそういう人 は多くいた。1人で帰るのを回避するために、あまり仲良くないクラスメイトと駅まで歩くとか。そんなに他者の目って気になるのかな。思っても口には出さないけど。
注: 当時のあるばすは週6でスポーツをやっていて、施設の利用可能時間(夕方までしかやっていない)の都合上、人を1時間近く待つ( =ほとんどスポーツの練習ができなくなる)という行為が信じられなかったこともあるかもしれない
まあそんな話はいいんですけどね。
この本が多くの人に読まれてるってことは、多数派の仮面をかぶっ た人間の中にも息苦しさを感じてるのがいるってことなんでしょう 。
それは少しだけ救いになると思いました。